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対象者 | 贈与による税金対策を検討している方、感謝の想いを形にしたい方 |
贈与はお互いの意思表示が大事
「贈与」と聞くと、真っ先に思い浮かべるのは「贈与税」という方も多いのではないでしょうか。
しかし、税金の心配をする前に、まずは贈与とは何か?を確認しておく必要があります。
そもそも、当事者では贈与だと思っていたものが、後から税務署から「相続税がかかります」と言われてしまったら、
折角の税金対策が無駄になってしまいます。
贈与をしっかりと理解する事が、税金対策上でもとても重要になります。
例えば、贈与したい相手の銀行口座に、現金を送金しただけで贈与は成立するのでしょうか?
答えは・・・「ノー」です。
贈与には、「あげます」「受け取ります」という、お互いに意思の合致が必要です。
逆に言うと、こうした意思の合致さえあれば、契約書が無くても口約束だけでも有効に成立します。
贈与を行ったという客観的な証拠を残しておくことが重要
口約束でも贈与は有効に成立しますが、一般的には贈与を行う際には「契約書を残し」「振込で行う」とされています。
これは一体どうしてでしょうか??
これは、税務署などの第三者から見た時に、記録が残っていなければ贈与であることの確認がとれないからです。
つまり、「これは贈与です」と主張するためには、契約書や振り込み履歴が必要になってきます。
ここで疑問として浮かんでくるのが、「銀行振り込みだけで足りるのではないか?」という事です。
しかし、例えばもらう人が幼児であったり、通帳や印鑑を、財産をあげる人が管理している場合はどうでしょう。
この場合だと「もらいます」という意思の確認が出来ませんよね。
親や祖父母が勝手に振り込んだかもしれません。もらう側にも「もらいたい」という意思が必要であることをしっかりと覚えておいてください。
贈与と認められないとどうなるのか?
もしも贈与と認められない場合、贈与した人の財産は、もらう人に渡っていない事になってしまいます。
そうすると、贈与する人が亡くなった際には、その財産は相続税の課税対象になります。
更に、その財産について相続税の申告上の財産に加えなかった場合は、「行うべきであった申告がない」ということで、追徴課税の対象になってしまう事も考えられます。
相続税対策として、贈与の活用を考えている方は、こうした点にも注意しておきましょう。
相続を考える際には、贈与も合わせて知って備えておくことが大事になってきます。
死亡時の贈与は相続と共通点が多い
「贈与」と「相続」の違いについても確認しておきましょう。
「贈与」は、贈与者(および受贈者(もらう人))の意思によって行われるのに対して、
「相続」は、死亡によって強制的に始まります。
また、贈与はそのほとんどが、贈与者の生きている間に行われ、あげる相手や時期も選べます。
一方、相続は法律で決められた相続人のみにしか行うことが出来ません。
ただし、贈与には死亡時に行う「遺贈」と「死因贈与」という贈与もあり、死亡によって開始する点では相続と共通する点も多くあります。
遺贈とは、遺言書によって行う贈与のことです。
遺贈により、相続人以外の人にも財産を残すことが出来ます。(もちろん、相続人に対しての遺贈も可能です。)
死因贈与とは、「私が死んだらあなたに財産をあげる」というように、死亡をきっかけに贈与することを、生前に契約しておくことです。
死因贈与も、相続人以外の人に財産をあげることが出来る点では、遺贈と同じです。
ただし、遺贈と死因贈与の違いとしては、遺贈は必ず遺言書で行わなければならない(口約束では無効)であるのに対し、
死因贈与は生前に贈与者と受贈者の意思が合致し、契約が成立しておく必要があるということです。
ただし、口約束でだけでは、贈与者が死亡した後にそれを証明する事は困難ですので、こちらも契約書を残しておくことが重要となります。
豊富な贈与のバリエーションを一挙に解説!!
贈与には、豊富なバリエーションが存在します。
それぞれの違いを理解して、ご自身の事情に合わせた活用を検討してみましょう。
①生前贈与(せいぜんぞうよ)
一般的に、生前に行う贈与を広く表す言葉です。
子や孫への教育、結婚、子育て、マイホームのための贈与は、様々な税金優遇制度が整えられています。
また、お世話になった方へのお礼の気持ちなど、様々な形で生前に自分の意思で行う事を指します。
②負担付贈与(ふたんつきぞうよ)
贈与に、何らかの負担を付けて行うことです。
例えば「家を贈与する代わりに老後の面倒を看て欲しい」「自分が死んだ後にペットの世話をしてほしい」というものです。
ただし、受贈者が負った負担が履行されない場合は、贈与者は契約を解除することが出来ます。
③条件付き贈与(じょうけんつきぞうよ)
贈与する時期を指定するなど、贈与に条件をつけるものです。
例えば、「大学に無事合格したら、車をあげる」(停止条件付贈与)といったものや、「大学を卒業するまでの間、毎月1万円のお小遣いを挙げる」のような条件(解除条件付贈与)があります。
④遺贈(いぞう)
上記で触れましたが、再度説明します。
遺贈とは、遺言書による贈与のことです。
贈与者が死亡した際に、あげる財産が残っていることが必要で、仮に残っていなければ無効となります。
あげる相手としては、相続人以外の人にも財産を残すことが出来ますし、負担を付けることも可能です。
⑤死因贈与(しいんぞうよ)
相続人以外の人に財産をあげることが出来る点では遺贈と同じですが、
違いとしては、生前に贈与者と受贈者が双方で意思を合致させておくことが必要です。
また、口約束でも契約は有効ですが、第三者(税務署など)に契約を証明するためにも、
客観的な証拠として契約書を交わしておくことをお勧めします。
また、贈与者が死亡した後に、どのように財産を移転させるのかについてですが、
財産を受贈者に移転させる義務は「相続人全員」が負っています。
あげる財産が預貯金であれば、相続人(通常は代表相続人)より、贈与を実行することとなりますし、
挙げる財産が不動産であれば、相続人全員が登記義務者として、不動産登記を行う必要があります。
(例外として、公正証書で作成しており、かつ死因贈与の執行者が指定されている場合には、当該執行者のみが登記義務を負うこととなります。)
まとめ
今回は、贈与についての基礎的な内容に加えて、贈与の豊富なバリエーションをご紹介しました。
贈与は正しく行わないと、後で贈与が無効だとして、法外な相続税を課せられてしまう可能性があります。
相続税対策として生前贈与をお考えの方や、ご自身の感謝の気持ちを形にするための贈与など、様々なご事情で贈与を検討される方が増えています。
ご自身のお考えに最も適した形は何か、どうすれば正しく問題なく手続きを行えるのか、こうしたお悩みをお持ちの場合、是非とも専門家の活用をご検討下さい。
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相続税がかかるかどうかを判断するためにも、こうしたサービスの検討をしてみるのもお勧めします。
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