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対象者 | 遺言書のポイントを”ざっくりと”つかみたい方、作成を検討している段階の方 |
この記事では、遺言書を作成したい方に向けた、種類別の作成ポイントと注意点をわかりやすく解説していきます。
遺言書を考えてはいるけど、種類が色々あって何が違うのかよくわからない・・・。
まずはざっくりと種類別の違いをつかみたい、という方向けの記事になります。
また、故人様が亡くなり、遺言書を見つけた後の手続が気になる方にも読んでいただければ幸いです。
当ブログは、「専門家が専門用語を使わず、やさしくわかりやすく相続を解説するブログ」です。
さあ、ご一緒に勉強していきましょう!
遺言書の作成を考えた時に、最初に考える事は「公平感」
相続手続きをスムーズに行いたい(もしくは行って欲しい)と思う場合、遺言書を用意しておくことは重要です。
ただ、折角苦労して遺言書を作成したものの、内容によっては逆にトラブルの種になってしまう事もあります。
遺言作成にあたって、最も気を付けなければならないのは、「相続人間の公平感」ではないでしょうか。
あくまで「公平”感”」であって、必ずしも「公平」である必要はありません。
家を建てる時に援助した、結婚するときに援助した、などお子様のライフステージによって過去に支援してきた場合は、
「支援した子」と「そうでない子」を、相続の際に同じに扱ってしまうと、
そうされなかった子からすると「なんでアイツばっかり・・・」となってしまいますよね。
他には、生前に近くに住んで色々と世話を焼いてくれた子供と、遠くに住んで年に数回しか会わない子供とでも、
やはり多少の差をつけてあげないと、世話を焼いた子供からすると納得いかないものがあるかもしれません。
(子供は親の為に無償で尽くすべき、という昭和的な発想は現代ではなかなか難しいかもしれません。)
相続の時だけで考えて、「財産を平等に分けて欲しい」という遺言書を作ってしまう事は、
遺された相続人にとってみると、遺恨を残す可能性のある危険な遺言書であることがお分かりいただけたでしょうか。
遺言書の種類別のメリット&デメリットとは!?
では、具体的な財産の配分を決めた後に、どのように遺言書を残せばよいのかを解説していきます。
まず、法的に認められた遺言書の作成方法は、以下の3つの方法に限られています。
エンディングノートや、スマホやパソコンで作成したものは、無効となってしまうので注意してください。
①自筆証書遺言 (じひつしょうしょゆいごん) | ②公正証書遺言 (こうせいしょうしょゆいごん) | ③秘密証書遺言 (ひみつしょうしょゆいごん) |
---|---|---|
遺言者本人が手書きで作成する遺言。自筆、日付、サイン、押印が必要。(ただし、財産目録はパソコンでの作成や通帳コピーでも可) 形式面に不備があると無効になる。 | 公正役場で作成するため、形式面での不備は無く、確実に有効な遺言書を作成できる。遺言書を公証役場で保管される。 | 第三者に対し内容を秘密にしておける遺言書。遺言書を作成し封をしたうえで、公証役場で遺言を作成した事実が記録される。ただし、形式面で不備があると無効になることも。 |
3種類の遺言書の各々の作成手続きの違いは、次のとおりです。
①自筆証書遺言 | ②公正証書遺言 | ③秘密証書遺言 | |
---|---|---|---|
作成者 | 本人 | 公証人 | 本人 |
証人 | 不要 | 2人以上 | 2人以上 |
費用 | 手数料(法務局保管の場合) | 公証役場手数料 | 公証役場手数料 |
保管 | 本人か法務局 | 公証役場 | 公証役場 |
紛失の可能性 | あり(法務局ならなし) | なし | あり |
裁判所の検認 | 必要(法務局なら不要) | 不要 | 必要 |
それぞれの作成方法によって、作成の容易さや、保管方法、相続発生時の検認の有無などの違いがあることがお分かりいただけると思います。
では、いざ遺言書を書こうと思った時、どの作成方法がご自身に適しているのでしょうか。
各作成方法のメリット・デメリットの比較は以下の通りです。
①自筆証書遺言 | ②公正証書遺言 | ③秘密証書遺言 | |
---|---|---|---|
1)作成の容易さ | (思い立ったらいつでも作成できる) | 容易(公証役場に出向く必要あり) | 面倒(公証役場に出向く必要あり) | 面倒
2)他人の関与 | 一人で作れる | 証人が2名必要 | 証人が2名必要 |
3)費用 | 無料か低額 | 数万円~ | 数万円~ |
4)紛失のリスク | あり | (公証役場で保管) | 無しあり |
5)相続発生時の手間 | (相続人が裁判所へ出向き検認を受ける) | あり無し | (相続人が裁判所へ出向き検認を受ける) | あり
◎の数だけをみると、①自筆証書遺言が優れている様にも見えますが、話はそう簡単ではありません。
比較項目の1)から5)をみてみると、次の点がポイントとなります。
1)から3)は、遺言を作る人にとってのメリット。
4)から5)は、相続する人にとってのメリット。
そもそも、遺言書は何のために作成するものでしょうか?
残された相続人が出来る限り揉めずに、かつ相続手続きをスムーズに行うためですよね。
多少の費用や手間がかかったとしても、確実に保管してくれないと、いざという時に見つけてくれません。
見つけてくれないと、折角の遺言書も役に立ちませんよね。
それであれば、多少遺言を作る人にとって手間であっても、相続する方にとって安心できるものを選びましょう。
遺言の種類を選ぶ基準は、「相続する人」にとって安心できるものかどうか。
3種類の中では、「公正証書遺言」が最も安心で確実な方法。
なお、公正証書遺言の費用については、遺言書に記載する財産の額によって異なりますが、概ね数万円程度となります。
【公正証書遺言の作成手数料】
目的の価額 | 手数料 |
---|---|
100万円以下 | 5000円 |
100万円を超え200万円以下 | 7000円 |
200万円を超え500万円以下 | 11000円 |
500万円を超え1000万円以下 | 17000円 |
1000万円を超え3000万円以下 | 23000円 |
3000万円を超え5000万円以下 | 29000円 |
5000万円を超え1億円以下 | 43000円 |
1億円を超え3億円以下 | 4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額 |
3億円を超え10億円以下 | 9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額 |
10億円を超える場合 | 24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額 |
遺言書の内容で注意すべき点は!?
遺言書の種類別メリット・デメリットの箇所で記載した通り、遺言書は「相続人の為」に作成することを、
改めて認識しておきましょう。
そして遺言書を作成するときには、ご自身の財産は何があるのか、誰にどれだけを分けあたるのかを具体的に明記しましょう。
そのためにも、財産と相続人をよく確認し、遺産漏れが無いことはもちろんのこと、
「出来る限り揉めない様に、公平感は保たれているか?」をじっくりと考え、検討していく事が重要です。
また、作成後はできる限り相続人にも伝えておくことも、場合によっては必要です。
例えば「自宅はお母さんに、あの土地は長男に、この土地は次男に配分する」と伝えておくことで、
相続人はあらかじめ心の準備が出来るうえ、活用方法なども予め考えておくことが出来るため、
揉め事が起こる確率も下げることが出来るでしょう。
なお、遺言書の内容を専門家に相談することで、遺産の漏れを防げたり、税金面で有利な配分方法のアドバイスや、客観的な意見をもらえますので、積極的に活用することを検討してみてください。
相続税が気になる方は、このタイミングで税理士へ相談を
遺言書の作成にあたって、相続人の方が困らない種類の選択や、揉めない内容としておくことはお分かりいただけたかと思いますが、相続税もやはり気になる!という方は、この時点で税理士への相談を検討した方がよいでしょう。
相続税は、もらう財産に応じて納税額が変わってきます。
また、もらう人が妻や夫など配偶者の場合は税金が安くなったりと、様々な控除が受けられます。
そうした相続税の制度を踏まえた上で遺言書の内容を決めることで、税理士への手数料を支払う以上に、税金を安く済ませる事も可能です。税理士費用は、そのためのアドバイス料と割り切ってもよいでしょう。
税理士側でも、財産内容の確認作業や相続人への聞き取りなどに時間を要しますので、依頼を検討する場合は早め早めに動いておくと、税理士からもより良いアドバイスをもらうことが出来ます。
もしもお知り合いに税理士がいない場合、もしくは相続税がかかるかどうかが気になる方には、依頼者に最適な税理士を紹介してもらえるサービスがあります。
相続税が心配な方、まずは税理士に話を聞いてみたい方は、こちらのサービスを利用してみてはいかがでしょうか。
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まとめ
遺言書を作成したい方に向けた、種類別の作成ポイントと注意点はお分かりいただけたでしょうか?
遺言書作成など、ご自身の相続に向けた手続きは平日日中に動かなければならない事も多く、また役所や機関ごとにやり方も違っていて、とても面倒な作業です。
相続人の方に対し、ご自身の大切な資産を確実に相続する方法として、信託銀行等の専門機関に相続手続きを依頼すると、こうした面倒な手続きを一括して代行してくれます。
ただし、一般的に信託銀行は費用が割高(最低100万円~)となりますので、ご自身でしっかりと「どこまで代行してくれるのか」「追加費用は発生するのか」など依頼内容を確認してください。
当事務所では、元信託銀行員の目線で、信託銀行と同一のサービスを、低料金にて提供しております。
どうぞお気軽にお問合せ下さい。