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対象者 | 相続手続きを始める方、既に始めている方 |
初めて相続手続きを行う方にとって、一体何から始めれば良いのか見当がつかない・・・。
そういった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
人生の中で、相続を経験する回数は、ほとんどの方が1回~2回。
それも、突然その時はやってくるので、前もって準備などできるものではありません。
この記事では、相続手続きを始めるにあたって、まず最初に行わなければならない作業である「遺言書」探しについて、解説していきます。
相続手続きの第一歩は、「遺言書を見つける」
銀行預金や不動産など、故人様の財産を相続するにあたって、まず初めに行うことは、【遺言書の有無】を確認することです。
理由は、「遺言書があるかどうかで、手続きの進め方が全く違ってくる」からです。
遺言書があれば、書いてある内容通りに、財産を相続人で分ければいいのですが、
もし遺言書が無かった場合は、一から相続人全員で話し合いを持たなければなりません。
全員で話し合い、、、聞いただけでもうんざりしてしまいますよね。
相続人の立場からすると、本当に遺言書があるって助かります。
普段付き合いが無い兄弟や、疎遠な親戚と余計な軋轢を生みたくないですし。
こうしたことから、故人様が遺言書を残しているかが、すぐには分からなくても、まずは家の中を探してみましょう。
遺言書の種類によって探し方は違います
遺言書の探し方は、その種類ごとにポイントが違ってきます。
遺言書は2種類あります。
①公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)
公正証書遺言は、公証役場(こうしょうやくば)で作成する遺言書です。
公証人が、作成時に遺言書の形式を整えてくれて、更には故人様の意思確認(本人が遺言書を作りたいという意思を持っているか)まで行ってくれます。
本人の意思に反して作成された可能性がある場合は、無効の可能性あり。
また、作成後も長期間(作成後140年!)保存してくれるので、紛失の心配もありませんし、全国のどこの公証役場で作成しても、検索することが出来ます。
銀行や司法書士などの専門家が関わって、遺言書を作成する場合は、ほぼ公正証書遺言で作成されています。
②自筆証書遺言(じひつしょうしょゆいごん)
自筆証書遺言は作成者本人が自筆で作成する遺言書です。
ご自身で作成するので、簡単に作成できる反面、形式面に不備がある場合は無効となってしまいます。
また、「本当に本人が書いたのか?」「本人の意思で書かれたのか?」が問題になることがあります。
保存場所も、本人しか知り得ない場所にあるため、探すのに苦労します。
相続人が探すのに苦労する。
公正証書遺言の探し方
故人様が公正証書遺言を作成する場合、生前によく利用していた銀行や信託銀行などの金融機関か、司法書士などの専門家を通じて作成しているケースが多いと思われます。
その場合、公正証書遺言の原本(正本(せいほん)といいます)は、金融機関や専門家が保管してくれています。
ただ、金融機関や専門家は、故人様が亡くなったことを即座には把握していないことも多いため、遺言書を引き渡してもらうには、亡くなった事を伝える必要があります。
金融機関等へ故人様が亡くなった事を伝える方は予め指定されており、指定された方(通知人)より金融機関等へ、故人様が亡くなったことを伝えます。
通知人は、夫や妻、もしくは同居親族など、故人様と生活を共にしている方が選ばれるケースが多いでしょう。
金融機関等が故人様のご逝去を把握したら、金融機関等で保管している遺言書を、相続人らに開示します。(これを「遺言開示」といいます。)
開示日をいつにするのかなど、日程の調整について、金融機関等から相続人へ連絡が入ることになります。
公正証書遺言を残しているかを自分で調査したい場合は!?
故人様が金融機関や司法書士に頼らず、ご自身で公正証書遺言を作成しているケースもあります。
生前に公正証書遺言を作成していたと話を聞いていたのであれば、公証役場に出向いてみましょう。
また、仮に聞いていなかったとしても、故人様が公正証書遺言を作成していたかどうかの調査をすることが出来ます。
調査方法は、日本公証人連合会の「遺言検索システム」を利用すれば、相続人でも調査可能です。
遺言検索システムを利用するためには、必要書類を揃えて、全国の最寄りの公証役場へ出向きます。
遺言検索システムでは、公証役場で作成された公正証書遺言の情報が登録されています。
このツールを利用して検索すれば、故人様が遺言者となっている公正証書遺言の存在を確認できるのです。
【公正証書遺言】は、金融機関や専門家が保管していることが多い。事前に通知人が指定されていることが多く、通知人が故人様が亡くなった事を伝えて、遺言書を開示してもらう。
(相続人自身で、公証役場の「遺言検索システム」を利用して調べることもできる。)
遺言検索システムを利用できる人は?
遺言検索システムを利用できる人は決まっています。
遺言の作成者が生存している場合、本人のみ検索することが可能です。
遺言者がすでに亡くなっているときは、法定相続人または遺言で財産を承継する受遺者が検索できます。
法定相続人または受遺者(遺言書で財産を受け取ると指定された第三者を指します)が検索を行うときは、必要書類として、「故人様が亡くなっていることがわかる戸籍」、「法定相続人や受遺者であることを証明できる書類」を提出します。
「法定相続人や受遺者であることを証明できる書類」の具体的な書類は、法定相続人であれば戸籍、受遺者の場合は公正証書遺言書の写しです。(公正証書遺言の写しが無い場合は、受遺者であることの証明が困難であるため、その場合は法定相続人が調査を行うことになります。)
さらに、法定相続人または受遺者の身分証明書の写しの提出も求められます。
更に詳細については、最寄りの公証役場へお問い合わせすると、丁寧に教えてもらえます。
自筆証書遺言の探し方
自筆証書遺言の探し方について、残念ながら「これで絶対見つけられます!」という方法はありません。
故人様が大切な書類を保管していると考えられる場所を、しらみつぶしに探すという方法が一般的です。
「自宅の金庫」や「金融機関の貸金庫」に保管されていることが多いので、そのあたりから探してみるとよいでしょう。
その他には、生前懇意にしていた税理士や司法書士などの専門家に預けているケースもあります。
中には、介護施設のロッカーや、車のダッシュボード、趣味の道具を保管していた場所など、意外な場所に保管されているケースもありました。
自筆証書遺言を発見した後の手続き
自筆証書遺言を見つけた場合、直ぐに開けてはいけません。
開封前に、家庭裁判所で検認の手続きを受けておく必要があります。これは、今後の相続手続きで必要になり、加えて他の相続人から偽造等を疑われないためにも、必ず検認を受けるようにしましょう。
封印のある遺言書を勝手に開封してしまうと、5万円以下の過料(罰金の支払い)となってしまいますので、十分注意しましょう。
検認手続きとは?
検認とは、自筆証書遺言を発見した相続人以外の方に対しても、遺言書が存在していることを知らせる役割です。
更に、遺言書の状態,日付,署名など、検認の日における遺言書の状態を明確にして,以後の遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。
なお、裁判所では、この遺言が有効であるかどうかの判断まではしてくれません。
あくまで、「遺言書があったこと」と、「この状態でありました」の2点を証明してくれるだけです。
検認前に、相続人全員あてに裁判所から通知が送られます。
この通知により、相続人は「遺言書が見つかった」事を知ることになります。
通知の時点では遺言書は未開封のため、コピーなどは同封されません。
遺言書の内容を知りたい場合は、検認日に裁判所に出頭し、同席の上確認をした方がよいでしょう。
検認が終わると、裁判所より「検認済み」というスタンプが押された書類(検認証明書)が交付されます。
本書類を使用して、今後相続手続きを行っていく事となりますので、失くさない様に留意してください。
【自筆証書遺言】は、故人様の持ち物を確認する。万一発見した場合は、以後の手続で必要になること及び、他の相続人から疑われないためにも、必ず裁判所で「検認手続き」を受ける事が必要。
まとめ
故人様が遺言書を残していた場合の探し方や、その後の手続はお分かりいただけたでしょうか?
故人様が折角の想いで残した遺言書であっても、相続人が捜索して見つけないと、遺言書は効力を発揮しません。
大切な人に万が一のことがあった時は、まずは遺言書を探してみることと、公正証書遺言と自筆証書遺言の調査方法を知っておくと、その後の相続手続きがスムーズに進められるでしょう。
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