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対象者 | 株式を相続した方で、今後の手続に悩んでいる方 |
この記事では、故人様の証券口座の調査方法を解説していきます。
生前に親がよく株の話をしていたり、証券会社からの手紙がタンスの奥から見つかったり、といった心当たりがある場合、相続財産に株があった可能性があります。
今現在も株を持っているのか?
証券口座を持っていたかもしれない?
こんな疑問が湧いてくることでしょう。
こんな疑問を少しでも解決するために、この記事では、株式の調査方法をお伝えします。
株式の調査方法のキホンをおさらい
株式の相続手続きの第一歩は、「故人様がどこの金融機関(銀行・証券会社など)に口座を持っているのか」を把握するところから始まります。
株式や投資信託など、いわゆる”値動きのある金融商品”は、通常は証券会社か、もしくは銀行を通して購入します。
証券会社や銀行に持っている、株式や投資信託を保管している口座のことを、「証券口座」と呼びます。
(それに対して、預金を保管している口座のことを「預金口座」と呼びます。)
証券口座は、預金口座と違い、通帳やキャッシュカードなどはありません。
従って、調査にあたっては、株式や有価証券の購入ルートである「証券会社」もしくは「銀行」に問い合わせを行います。
購入ルート毎に調査方法が異なりますので、ここからは具体的な方法を解説していきます。
証券口座の調査方法とは?
証券口座は、主に「証券会社」もしくは「銀行」に預けてあります。
預け先ごとに手続きが異なりますので、以下詳しく解説していきます。
【証券会社】への調査方法は!?
取引残高報告書が【ある】場合
証券会社に株式や投資信託を持っている場合、定期的に(通常は3か月に1回程度)、証券会社から「取引残高報告書」が郵送されてきます。(ネット口座の場合は、郵送ではなくホームページで閲覧)
取引残高報告書には、故人様が取引のある「証券会社」「取引支店」の他、「保有銘柄」などが記載されています。
この取引残高報告書を手掛かりに、証券会社宛てに調査依頼を行うこととなります。
証券会社から、最新の「残高証明書」を取り寄せましょう。
取引残高報告書が【無い】場合
取引残高報告書が手元にない場合であっても、「どこの証券会社と取引していたか」が分かる場合は、最寄りの店舗に問い合わせましょう。
取引していた支店が分からない場合の対応については、証券会社のホームページにも詳しく記載があります。
ここで、最も調査が困難となるのは、「どこの証券会社で取引していたのかわからない場合」です。
故人様の遺品を片付けた際に、書類や手帳などを確認しても、証券会社名や支店面が判明しない場合です。
取引していた証券会社が分からない場合(証券保管振替機構)
どこの証券会社と取引していたか不明であっても、株式や投資信託を持っていることは間違いないというケースです。
例えば、保有していた株式の銘柄会社から、年に数回配当金が払われている様な場合です。
銘柄会社からは、配当金に関する書類(「配当金通知書」や「配当金受領書」など)が送られてきます。
この場合は、頑張って銘柄会社へ問い合わせを行っても、相続手続きに関しては教えてもらえません。
そこで行うのが、証券保管振替機構(通称:ほふり)への開示請求です。
開示請求とは、故人様の口座が開設されている証券会社を有料(相続の場合、1件6050円)で確認することができる制度です。
取引していた証券会社が分からない場合は、証券保管振替機構(ほふり)へ開示請求を行うと、有料で取引していた証券会社を教えてもらえる。
証券保管振替機構(ほふり)で教えてもらえることは、あくまで故人様が口座を開設していた証券会社および支店名のみで、保有していた株式等の銘柄名や株数などは教えてもらうことはできません。
証券会社名と支店名が判明したら、上記の「取引残高報告書が【無い】場合」に戻り、その証券会社の支店に対して、「残高証明書」を請求することになります。
証券保管振替機構(ほふり)の手続き方法とは?
取引している証券会社が分からない場合、証券保管振替機構(ほふり)へ問い合わせます。
ほふりへの問い合わせの流れは次のとおりです。
※相続人の方が手続きを行う場合
相続人(手続きを行う人)及び被相続人(亡くなった方)の関係を示す戸籍謄本のコピー
被相続人(亡くなった方)の住民票の除票のコピー
(運転免許証等)のコピー
(証券保管振替機構のホームページより入手)
窓口への持参は認められていません。
代金引換となります。調査した結果、該当する証券会社がない場合でも、開示費用はかかります。
ご自身で手続きを行う場合は、必ず証券保管振替機構のホームページにて内容確認するようにしてください。
(請求する人によって、必要書類が若干異なります。)
残高証明書の株数が少ないかも、と思ったら??
無事、証券会社から残高証明書を取り寄せることが出来たものの、株式の数量が合わない・・・。困りますよね。
企業から送られてくる配当金書類と、証券会社から取り寄せた残高証明書を見比べると、株式の数量が違っていることがあります。
数量の違いの原因として考えられるのが、「特別口座」に保管されている株式がある、ということです。
特別口座???、、、ですよね。ただでさえ難しい用語が出てくる上、混乱してしまいます。
特別口座とは、簡単に言うと「一定の単位に満たない株式(端株(はかぶ))で、証券会社の口座に預けられなかったもの」のことです。
もう少し詳しくご説明します。
企業が増資などを行った際、株主の持っている株式数に応じて、新たな株式が割り当てられることがあります。
持っている株の数がそれほど多くない株主の場合、割り当てられる新たな株の数が中途半端な数(端株)になってしまう事があります。
平成21年から始まった「株券の電子化」という制度があり、今でこそ株式は全て電子化されていますが、電子化前は株を購入すると、「株券」という紙が株主に交付されていました。
そうして発生した端株分の「株券」は、電子化前は証券会社に預けることが出来ませんでした。
電子化が始まって以降、この端株分の株券については、証券会社に登録されることが無く、結果として実際よりも少ない数しか証券会社に登録されていない(=電子化されていない)、という事態が起こっているのです。
この、電子化されなかった株式の数量分が、保管されている場所が「特別口座」と呼ばれる口座です。
特別口座の対処方法は??
特別口座はどこにあるかというと、証券会社ではなく、通常は信託銀行や証券代行会社と呼ばれる機関にあります。
特別口座は、株式の銘柄ごとに決まっており、主に株式発行時の主幹事となっている証券会社におかれることが多いようです。
特別口座の保管先については、お持ちの口座の証券会社に問い合わせることで、確認できます。
・日本証券代行株式会社ホームページ
・三井住友信託銀行ホームページ
・みずほ信託銀行ホームページ
・三菱UFJ信託銀行ホームページ
特別口座にある株式は、そのままでは名義変更や売却などの手続を行うことはできませんので、一旦は相続人の証券口座へ移してもらう必要があります。
該当の信託銀行等に対して、「相続が発生したので、特別口座にある株式を、相続人の証券口座へ移してほしい」と請求しましょう。
【銀行】への調査方法は?
故人様が、生前に銀行の窓口や担当者から、投資信託などを購入しているケースもよくあります。
その場合は、該当の金融機関で「残高証明書」を請求すると、預金口座と合わせて、証券口座に保管している財産についても証明書を発行してもらうことが出来ます。
証券会社ほど複雑ではないので、不明点は窓口で相談してみるとよいでしょう。
相続手続きでは、必ず「残高証明書」を入手
証券会社や銀行での財産調査の際は、必ず「残高証明書」を取得するようにしましょう。
残高証明書を取得することにより、故人様のご逝去された日時点での株式や投資信託の銘柄や数量など、故人様が保有していた財産の詳細を把握することが出来ます。
また残高証明書は、以後の相続手続きにおいて、客観的な資料として、とても重要なものとなります。
例えば、相続人間で遺産分割協議を行うにあたり、「どこの金融機関にいくらあるのか」示す客観的な資料になりますし、他にも相続税申告の計算にあたって、財産額や税額を算出する際にも使用します。
相続手続きでは、相続人が一人の場合を除いて、必ず他にも相続人がいます。
話し合いをスムーズに進めるためにも、客観的な資料は必ず残す様にし、無用な争いが起きない様に注意しながら進めていくとよいでしょう。
まとめ
故人様の株式や投資信託の探し方や、その後の手続はお分かりいただけたでしょうか?
ここまで読んで、「相続の手続って大変・・・」と思った方は、「相続窓口の一本化」サービスのご利用を検討されてみてはいかがでしょうか。
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