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対象者 | 亡くなった方の国民年金手続きについて知りたい方 |
この記事では、国民年金を受け取っていた方が亡くなった後の手続きを解説していきます。
相続手続きのため、故人様の通帳を記帳してみると、亡くなった後に年金が入金されていることがあります。
亡くなった後に請求できる年金があるってほんと?
亡くなった後に入金された年金は返さなくてはいけないのか?
こんな疑問が湧いてくるのではないでしょうか。
こんな疑問を少しでも解決するために、ここでは亡くなった方の年金の手続きをお伝えします。
年金の仕組みのキホンを押さえよう
身内の方が亡くなった時の年金手続きには、大きく分けて2種類あります。
一つは、「年金の受給停止手続き」です。
未支給年金(本来受け取れるはずが、まだ受け取れていない年金のこと)がある場合には、合わせて手続します。
二つ目は、遺された家族が受け取れる「遺族年金の手続き」です。亡くなった方が一定の条件を満たすと、遺族は遺族基礎年金や遺族厚生年金を受け取ることが出来ます。
手続きは、加入している公的年金の種類によっても変わります。
本記事では、一つ目の「年金の受給停止手続き」について、解説していきます。
まず初めに、公的年金制度の仕組みについて、簡単におさらいしておきましょう。
加入している公的年金制度は、働き方によって以下の様に分かれています。
第1号・・・自営業者、短時間労働者、無職、20歳以上の学生
第2号・・・民間企業の会社員、公務員等 厚生年金
第3号・・・第2号の方に扶養されている配偶者
年金の受給停止の手続はどうする?
年金を受け取っていた方が亡くなった場合には、年金の受け取りを停止する手続きをしなければなりません。
年金の支給のタイミングは、年6回、偶数月(2,4,6,8,10,12月)の15日に、前2か月分が支給されます。
例えば、2月15日に支給される年金は、前年12月分と本年1月分になります。
年金は、亡くなった月の分まで受け取ることが出来るので、もし亡くなった日が3月1日であれば、3月分も満額受け取ることが出来ます。(この場合であれば、4月15日に振り込まれる「2月分」と「3月分」まで受け取ることが出来ます。)
この様に、亡くなった後に受け取ることが出来る年金を、「未支給年金」と呼ばれます。
未支給年金は、亡くなった方が本来受け取ることが出来るはずであった年金です。
もし、死亡後に口座凍結のため、未支給年金を受け取ることが出来なかった場合は、忘れずに請求しましょう。
具体的な請求方法は、次の章にてご確認ください!
一方で、うっかり年金の支給停止手続きが遅れてしまい、次の年金支給日に、本来受け取れない年金が振り込まれてしまうと、その年金分は返還しなければなりません。
受給停止手続きは、年金事務所が勝手に止めてくれるわけではないので、自分から動かないと止まりません。
不正受給のニュースも時々報道されていますし、年金の不正受給が発覚すると、刑法上の詐欺罪に該当したり、国民年金法上の規定による罰則(3年以下の懲役または100万円以下の罰金)の対象となります。かなり重いです。
受給停止手続きは、最寄りの年金事務所または街角年金相談センターに必要書類を提出します。
なお、マイナンバーカードをお持ちの方は、年金事務所側で故人様が亡くなった事を記録で確認できるため、特別の手続は不要です。
未支給年金の受け取り手続きは?
大切なことなので繰り返します。
未支給年金とは、「本来なら亡くなった方が受け取ることが出来たであろう年金」のことです。
例えば、3月1日に亡くなった場合、4月15日に振り込まれる「2月分」と「3月分」のことです。
亡くなった月 | 未支給年金の有無 | 対象月 | 受取時期 |
---|---|---|---|
1月 | 12~1月分(1か月分) | 2月15日以降 | |
2月 | 2月分(1か月分) ※2/15支給分は「12月・1月分」 | 4月15日以降 | |
3月 | 2~3月分(2か月分) | 4月15日以降 | |
4月 | 4月分(1か月分) ※4/15支給分は「2月・3月分」 | 6月15日以降 | |
5月 | 4~5月分(2か月分) | 6月15日以降 | |
6月 | 6月分(1か月分) ※6/15支給分は「4月・5月分」 | 8月15日以降 | |
7月 | 6~7月分(2か月分) | 8月15日以降 | |
8月 | 8月分(1か月分) ※8/15支給分は「6月・7月分」 | 10月15日以降 | |
9月 | 8~9月分(2か月分) | 10月15日以降 | |
10月 | 10月分(1か月分) ※10/15支給分は「8月・9月分」 | 12月15日以降 | |
11月 | 10~11月分(2か月分) | 12月15日以降 | |
12月 | 12月分(1か月分) ※12/15支給分は「10月・11月分」 | 2月15日以降 |
金額にすると、結構な額になります。もちろん、これも大切な故人様の財産です。(ただし、相続税法では相続財産とはなりません。受け取った方の一時所得として、所得税の対象となります。)
では、具体的に受け取り方について説明していきます。
受け取り期限
亡くなった方が、生前に受取口座に指定していた銀行口座に、年金は送金されます。
よって、もしその口座が凍結していなければ、送金日である「偶数月の15日」に入金されます。
問題なのは、既に口座凍結されている場合です。
年金は亡くなった方の口座へ送金されたものの、口座が凍結されている為、「受け取れない」状態です。
この場合は、所定の手続きで請求することで、未収年金を受け取ることが出来ます。
ただ、請求には期限があります。5年です。
年金を受ける権利(基本権)は、権利が発生してから5年を経過したときは、時効によって消滅します(国民年金法第102条第1項・厚生年金保険法第92条第1項)。
引用元:日本年金機構HP https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/kyotsu/shikyu/20140421-01.html
ただし、やむを得ない事情により、時効完成前に請求をすることができなかった場合は、その理由を書面で申し立てていただくことにより、基本権を時効消滅させない取扱いを行っています。(平成19年7月7日以降に受給権が発生した年金について、時効を援用しない場合は、申立書の提出は不要です。)
未支給年金の請求先
請求先は、年金事務所です。
故人様が受給していた年金 | 未支給年金の請求先 |
---|---|
老齢基礎年金、老齢厚生年金 | 年金事務所(検索はこちら) ※個人の年金相談は、全国どこの年金事務所でも可能です。 |
不明点がある場合は、まずは最寄りの年金事務所に問い合わせてみましょう。
なお、国民年金以外で、亡くなった後に受け取れる年金(遺族年金など)は、お住まいの市区町村となります。
要件が細かく設けられているので、気になる方は一度確認してみましょう。
必要書類
請求に必要となる書類は主に次のとおりです。
故人の状況によって異なる場合があるので、詳しくは年金事務所で確認することをおすすめします。
- 未支給年金請求書:「日本年金機構」からダウンロードできます。
- 故人の年金手帳・年金証書
- 故人の戸籍謄本
- 故人の住民票除票
- 請求者の世帯全員の住民票
- 振り込み先の通帳・キャッシュカード
請求できる人の範囲
未支給年金を請求できるのは、亡くなった方と生計を同じくしていた人だけです。
「生計を同じくしていた」とは、ざっくり言うと、「家計のお金を、同じ財布から出して暮らしていた人」という意味です。
生計を同一としない場合、請求権はありませんので注意が必要です。
生計を同一としていた方の中でも、請求できる優先順位があります。
(1)配偶者 (2)子 (3)父母 (4)孫 (5)祖父母 (6)兄弟姉妹 (7)その他3親等内の親族
未支給年金を受け取れる順位もこのとおりです。
未支給年金が問題となりやすいケース
相続手続きの場面で、未支給年金が相続人の間で問題となるケースがあります。
それは、未支給年金が振り込まれた後の銀行預金を、遺産分割で分ける時です。
通常、預金を遺産分割で分ける時は、死亡日時点の残高を元に、相続人で話し合います。
ここで少し厄介なのが、預金残高は死亡後も変動する点です。
変動の原因は、未支給年金の他、公共料金の引き落としや、家賃の支払いなどの支出のみならず、株式の配当金や不動産の家賃収入などによるものです。
死亡日時点での預金残高を元に、相続人間で分割方法を話し合って決めた後、実際に相続手続きを経て、預金を解約してみると、手元に受け取る金額は増減しています。
死亡日から残額が増えていた場合は、増えた分は誰が受け取るのか、逆に減った分は誰が負担するのか。
こうしたことまで話し合いで決めておかないと、思わぬトラブルに発展する可能性があります。
なお、未支給年金は受け取れる方に優先順位がありますので、もし亡くなった後に未支給年金の入金があった場合は、本来受け取ることのできる方に配分する必要があります。
まとめ
未支給年金は、煩雑な相続手続きを進めていると、ついうっかり忘れてしまうかもしれません。
手続きも若干煩雑で、平日日中に動かなければならない事も多く、面倒な作業です。
また、相続手続きサービス業者でも、未支給年金を漏らしてしまうといった事もあります。
相続手続きサービスを利用する際に、「未支給年金ってご存じですか?」と質問してみると、その業者が適切に対応してくれるかどうかの判断の一つになるかもしれません。
こうした、故人様が残してくれた大切な資産を確実に相続する方法として、当事務所では、元信託銀行員の目線で、信託銀行と同一のサービスを、低料金にて提供しております。どうぞお気軽にお問合せ下さい。
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